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これから描きたい絵。

new Pictures 2016
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Taro Otani*painting/graphics

これまで描いてきた絵とこれからの絵*2016

帰国して3年、いろいろなかたちを試してみましたが ハンドメイドとの付き合いを深めて美術と重ねながら得た経験は貴重でした。

絵の活かし方を帰国したらきっと変えないといけないだろうなとぼんやりとは思っていましたが、長々 と向こうにいながら覚えた事をこれからどう活かしていけるか最初の年は正直不安な気持ちもありました。でも結論から いうと帰ってきて本当によかったなと思います。

グローバルとか、国際化とか、英語とか、とにかくよく聞くし、まあ必要な場面もあるだろうと僕も思っています。でもまず描いた自分が自分の絵の評価をしなければ続けて行くのは むずかしい。これを描いたらグローバルだと思えるやり方が海外、もっと言えば欧米にいけばあるというのは少なくとも美術については幻想だと僕はかなりはっきり強く思っています。

僕は初期ルネッサンスのころのホルバイン(父)の絵やコローの絵が好きです。同時に俵屋宗達やエジプト美術や谷内六郎も好きです。僕はホルバインが誰をどうして描いたか知りません。その時代の向こうの人もきっと日本の事も知らなかったでしょう。明らかに現代のひとより例外的な立場の人を除いて情報量は少なかった。情報の量が明らかに多い現代のひとがじゃあ昔のひとより絵が描けるか。過去の美術を「古い」で切り抜けようとする人は美術界にも多いですが、かつて自分もそうでしたが(笑)それを 言ってた時の自分は過去を否定するに足りるだけの情報も技術も全く持っていない事に自分自身で気づいていませんでした。こわいから避けていただけで。

アカデミーにいた頃に通いつめていた美術館で、いつもは関心のない中世などのコーナーに間違って入った事がありました。たまたまそこで見かけたホルバインの絵に初めて雷に打たれたようにビリビリなったのを覚えています。名前も知らない、題名も知らない絵でした。小林秀雄の本の感動の言葉の部分などを読んでもそれまではなんかオーバーだなと(笑)余り共感しなかったけど、その時からああそういう事もあるんだなあと初めて実感しました。それまではせいぜい現代美術とギリギリ近代美術ぐらいまでしか自分には美術ではなかったんですが、新しい方へだけではなく過去の昔のほうへも自分の世界が拡げられていくきっかけになりました。

近現代の絵のコーナーに比べて人がいつも少なかったです。でも他の人の反応も気にならない、時代も国籍も関係なく、ある絵に強く打たれる事があるのを知ると、僕はあらためて何か新しい事を あくせく探してオロオロするのをやめる事にしました。洞窟の壁画の時代から優れた絵はどこでも通じるからこそ浮世絵も世界に通じたんだと思います。 エキゾチックだから受けた訳ではない。いまさらグローバル基準などと言われずとも日本のこれまでの絵にどこでも通じる優れた絵はたくさんありました。 浮世絵を作れたひとは今日のように絵画とデザインなどの西洋流の分野の違いも美大もない、外国にも別に行っていない訳で。その人達が作っている事を考えると才能や技術をもとにした絵の「質」は情報や知識の「量」からはでてこないのは今日も、昨日も、明日も自明な事だと僕は考えます。そう考えて困った事はこれまで一度もないです。

前置きが長くなってしまいましたが(笑)この3年ですが、自分の知っていた絵の範囲以外のハンドメイドなどを知る、ネットで見せる、販売する事を 自分の制作活動に組み込んでいく3年になりました。わりと受け身というか、あるものを理解する日々でした。

ここからは分野分けをせず現代美術もハンドメイドも全て「美術」だと考えていきたい。それをやっぱりネット中心に展開していく事になるだろう と思いますが、学んできた欧米流の美術/fine artのカテゴリーとはかなりずれます。

でも欧米式の現代美術の前提に、もしそれが普遍的で美術を志すだれもが理解しなければならないと言うなら、先に書いた昔の絵や東洋美術やエジプトも、日本には 絵画/デザインの区分けなど伝統的に存在しなかった事は入っているのかと言えば入っていない。そのカテゴリーの前提は欧米の今日の美術とマーケットのかたちであって言ってみればローカルです。「アートは自由だ」これもよく聞く言葉ですが(笑)もしそれが本当なら日本で美術の枠組みを変えて逆に影響を与えた方がはるかに生産的だと思うし「自由だ」と思うからそれらの事も含めた小さなモデルを作ってみたい。それがおおざっぱに最近考えている事です。西洋に学ぶ事はたくさんありますが、今の現代美術の枠に全部つき合ってその枠に収まろうとするとしぼんでしまう創造性もあります。  

僕はドイツでも美術界とか学校関係や人との直接の関係の中で美術を考えたりした事はほとんどなく、好きになった絵と自分の絵の行方ばかりを 気にしてきたなあと思います。そういう意味での自分の小ささは理解しているつもりです。だからこそ「描く事」が絶対で、描く気になったのも好きになった絵があるからです。僕にとっては現代だけが美術ではなく、過去の絵も 「美術」です。あくまでその付き合いの中から今日にふさわしいやり方を見つけたい、それを「現代美術」と言うなら別にそれでいい。  

一つの自分なりの様式を作っていく事をしていきたいです、それをより広く、きめ細かく。その為の努力をしようと思っています。 今年は特に絵に「かるさ」を付け加えたいです。がっちり描くものとの組み合わせで繰り返しのモチーフのものはより安定感と様式化を与えて、新しいかたちやモチーフはこれまでと違うものを求めていきたいです。

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